プロ13年目の小平智が、池田勇太と並ぶ首位と4差の通算18アンダーで、3位タイに浮上した。
4番から怒濤の4連続バーディを含む「64」の中でもこの日一番の見せ場はティーイングエリアが309ヤードにセットされた16番のパー4だ。
決勝2ラウンドでワンオンイーグル賞の100万円がかかった等賞ホールで「完璧に打てた」と、ピン4メートル。
好調のショットに加えて先週の「ダンロップフェニックス」で仲良しの先輩、岩田寛に教わりパットも開眼済みだ。
格好のイーグルチャンスを決めきると、普段クールな男が思わずバンザイした。
ただし賞金は複数均等割。
この日だけでもすでに他3人も該当者がいて「ちょっとテンション下がりました」と、笑うが、前祝いを献上することはできた。
今週は、大溝キャディが女子ツアー最終戦「JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」に出張中。
エースの留守を頼んだ“ハマやん”こと大濱悟さんは10年来の親友で、昨年は米ツアーで孤軍奮闘する小平を訪ねてきて合宿につきあってくれたり、励ましてくれた恩人である。
「話しが面白くて、ネタを仕込んできてくれる。今週はずっと笑ってできている」と、感謝する。
これまでも幾度かスポットで担いでもらったことはあったが、コンビでの美酒はまだ。
「今週は優勝させてあげたいと、ハマやんにも言ってます」。4年ぶりの通算8勝目を捧げる。
「RBCヘリテージ」で米1勝を飾った2018年に、シーズン最終戦「ゴルフ日本シリーズJTカップ」で“有終の美”。日本ツアーはわずか5試合で、賞金6位につけた。
その後も毎年アメリカを主戦場にしながら日本ツアーは秋以降の終盤戦に加わるパターンを続けて2019年は9試合で賞金34位、20ー21年は7試合で59位、そして先週9試合目の「ダンロップフェニックス」で大会4位に入り、34位で今年も日本の賞金シードを確保。
「いま自分が日本で一番試合に出ている選手と思う。正直、休みたい」とこぼしながらも「日本に帰ってきて、応援してくださるファンの前で、成長を見せることも大事」と、連戦をやめない鉄の男だ。
今季のABEMAツアー賞金王で、昨年の米ツアーでは小平のキャディをつとめるなど親交が深い大堀裕次郎は、小平を「体力オバケ」と呼んでいる。
この調子でいくと、出場30人と少数枠の次週「ゴルフ日本シリーズJTカップ」の資格も獲得しそうな勢いだ。
「ハマやんにもボーナスをあげる」。
約束を必ず果たす義理堅い男でもある。