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ジョーンズ(左)の突っ込みにもどこ吹く風。「1番のティショットは僕にとってはミスじゃないんです」と竹本。
竹本直哉「去年の恩を返します」
この日、1番のティショットはバフ~ンッ・・・!! 地面をたたく派手な音とともに、スプーンで特大
のターフを飛ばした。その瞬間、スタンドに満員のギャラリーがどよめいた。そして、同組のブレンダン・ジョーンズは大笑い。
「ありえない、なんでそのスイングでまっすぐ行くの?!」。
15歳で単身渡米。高校、大学とゴルフ部で腕を磨いた竹本にはジョーンズのジョークも一語一区、理解できるがいっこうに気を悪くしたふうでもなく、むしろホールアウト後に胸を張った。

「確かに、僕のティショットはハンディ18。だけど、ジョーンズにもスコアで勝った」。
どこからでもパーを拾い、むしろピンチをしぶとくチャンスに変える竹本にジョーンズも途中、めげていたそうだ。
「君は、どうしてあんなところからバーディが奪えるの?」と。

スタートのティショットもミスではない。
「ドライバーでターフを取る男」。
それが、今季シード1年目の竹本の異名。
冗談のようだが本当だ。
ほかの選手の目撃証言は数知れず。
今や「ティグラウンドにターフの跡があったら、竹本のだと思え」が合言葉になるほどだ。

同じ組で回った先輩プロに「竹本はもうちょっとショットの練習をしないとな」とチクリと言われることもしばしばだ。しかし、「ほんっと、僕ってショットがヘタクソでねえ」と、落ち込む素振りは微塵もなく「でもだからこそ、まだまだ自分は上手くなれると思えるし、練習して上手くなっていくことが、僕には楽しくてたまらないんですよ」とあっけらかんと笑う。

「プロにも1人ぐらこんなヤツがいてもいい」と、平然と言ってのける。底抜けのプラス思考が持ち味だ。
それに、ショットを補って有り余るショートゲームの巧みさは、ほかのトッププレーヤーたちも認めるところだ。

もっとも今季は開幕から得意のパットに精彩を欠いて、先週のパインバレー北京オープンまで4試合連続の予選落ちを食らったが、握り方を変えたり、ストロークの軌道を修正したり、試行錯誤の末に今週はようやく明かりが見えて来た。

今季初の予選通過は6位タイと絶好の位置で週末を迎えるが、上位陣を仰ぎ見るなり「なんで、僕がよくなったらあの人がいるの?」と、悲鳴をあげた。

首位の片山晋呉とは、昨年7月のUBS日本ゴルフツアー選手権 宍戸ヒルズで歴史に残る名勝負を繰り広げた。
ホールアウトして報道陣の質問に答えていると、あのとき1打差の2位で敗れた相手が、クラブハウスの階段を下りてきた。
その片山に向かって声を張り上げた。
「明日は無理だけど、日曜日は一緒の組でお願いします!」。
そのあと、本人に聞こえないように小さくつぶやいた。
「そして、去年の“恩”を返します」。
そのためにもムービングデーの土曜日に、少しでも差を縮めておきたい。


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