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石川遼くんは9位タイスタート
御殿場の高速グリーンは「まだおびえながら打っている」。4番アイアンで、グリーンセンターに乗せた前半の13番。5メートルのバーディパットはストレート。「でもやっぱり速さにおびえてて。インパクトで緩んでしまった」。外れた、と確信して歩きだした。とその瞬間にポトリ・・・と、カップに落ちた。今週最初のバーディに、16歳の笑顔が弾け出た。

この日のプレーは、同組の宮本勝昌も「彼は確かに何かを持っている」と目を丸くしたほどいつにも増して、見どころ満載だった。

18番パー5は、グリーン左横からサンドウェッジのアプローチをミス。「フェースにボールが乗らず、噛み気味に当たってしまった」。反対側の池に入る可能性は「1%くらい」と当初は低い見積りも、みごとにハマった。
しかし片足だけ靴を脱ぐ水切りショットは本番前に下見を重ねた成果が出た。あわやカップインのピンそば15センチは楽々パーセーブだ。

そして極めつけは後半の3番パー5。フェアウェーから残り25ヤードの第3打をサンドウェッジでチップイン。ツアー初のイーグルに、思わず突き上げた人差し指は、大好きなサッカー選手のイメージだ。
「ゴールを決めて、ああいうポーズをよくするでしょう?」。

最後までノリノリのこの日3アンダーは、「いま、自分にできる最高のゴルフ。最初から最後まで、練習してきたことができたラウンドでした」。浮かべた笑顔に、確かな自信が漂った。

先月のブリヂストンオープンで、2試合連続の予選落ちを喫した。
悔しさの中、そのとき同じ組でまわった谷原秀人のアドバイスを忘れずに持ち帰った。
「アドレスが開いていて、右ひざが出ている。バックスイングで、右腰が前に出ている」。

ショットを曲げたくない、という思いから生来の思い切りの良さも失われていた。それから2週間は必死の調整で、きちんとこのツアー6戦目に間に合わせてきた。
前日水曜日の練習ラウンドは、「思い切りの良さを忘れたときによくする」という片足打法の素振りを実際のティショットでも試みて、体重移動を体に覚えこませた。
一気に調子は上向いて「今から試合になってくれたらいいと思うほど良い状態」と胸逸らせたほど、完璧に仕上がって迎えた初日だった。

5月のマンシングウェアオープンKSBカップで史上最年少V。石川くんはその喜びと影響の大きさを、いま改めてかみ締めている。
この三井住友VISA太平洋マスターズについて、「あのオーガスタに近いスピードのグリーン。最高の舞台」と称し、「優勝するまでは、1%も出場できるとは思っていなかった試合のひとつ。このトーナメントに出られる16歳はほかにいない」と、話した。
「・・・でも、いま自分は他の選手と一緒にここにいて、練習している・・・それが自然になってきていることが怖い」とも。

水曜日には、会見場で招待選手のオギルビーとアダム・スコットと偶然出会い、握手を交わした。
「2人が“優勝おめでとう”と言ってくださって。あのとき、勝っていなかったら米ツアーの選手に会える機会もなかったし、挨拶すらできなかった」と頬を紅潮させた。

「あの2人と決勝ラウンドで回れれば、最高の思い出になると思う」と石川くん。
9位タイスタートにも、本人には「予選落ちの不安」が完全に消えたわけではないだろうが、前回の二の舞は絶対に踏みたくない。
「こんな大きな大会に出られるなんて、なかなか体験できないチャンス。先のことは考えず、思い切ってプレーしたい」。蘇った豪快なスイングで必ず決勝ラウンドに進み、憧れのスター選手とのペアリングを実現させたい。


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