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すし石垣
「プロスピリッツが出た」
勇気を振り絞ってプレーしている。ゴルフの調子自体、あまり良くないからだ。特にティショットが、曲がりに曲がる。
ハーフターンの10番パー4。幸い、誰にも当たらずボールは観客のバッグの上にあったが、ティショットをギャラリーの中に打ち込んでヒヤリとした。
「今日は100くらい打っちゃうかと思ったくらい」。
ティグラウンドに立つと恐怖を感じるほどだが、それでも執念の69をマークした。

「プロスピリッツが出た」という。

予選ラウンドは、アマチュアの伊藤涼太くんとのプレー。
コースから車で約50分の三重県・鈴鹿市出身の涼太くんをお目当てに、2日間とも大勢の地元ギャラリーが集まった。

拍手と歓声に、自然とすしも乗せられていく。

時折、かたわらの伊藤くんまでもが、ボソっとつぶやく。
「すしさん、なんか面白いことしてください」。
伊藤くんは、実は大の“すしファン”だそうだ。
今年になって、携帯のアドレスも交換した。
「今週、練習ラウンドお願いしま“すし石垣”」などとお茶目なメールを送って来たり、すっかりなつかれている。
「すしさんと、笑いをこらえながらプレーするのがすごく楽しい」と、言ってくれる。
15歳にもつい乗せられて、この日も得意のパフォーマンスが炸裂した。

バーディチャンスを外して、大げさに泣き真似して悔しがったり、会心のショットを打ってフェアウェーを行進して見せたり・・・。

プレーでも、きっちり魅せた。
4番パー4で「本日のハイライト」。残り19ヤードのラフからの第3打をチップインバーディだ。

そんな派手で陽気なラウンドとは裏腹に、内心は切羽詰まっている。
獲得賞金は約800万円。現在賞金ランクは72位で、来季のシード権にはまだ届いていない。

「・・・涼太と違って(笑)僕は大事なものがある。もう少し、稼がないと・・・」と、シビアな面もチラリ。
決勝ラウンドでは、「優勝を狙ってプレーする」。
いつになく、真顔で言い切った。


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